Pitarit

生活・お金

住宅ローンの返済方法:元利均等と元金均等の違いと選び方

住宅ローンの契約時に必ず選ばなければならないのが「元利均等返済」と「元金均等返済」。月々の返済額が違い、総返済額にも数十万〜百万円以上の差が出ます。それぞれの特徴と、どちらを選ぶべきかの判断基準を解説します。

2026-04-22 公開 ・ 2026-08-10 更新 ・ 執筆: Pitarit 運営者

結論から

総返済額を抑えたいなら元金均等、月々の負担を平準化したいなら元利均等です。3,000万円・35年・金利1.5%で比べると、元金均等のほうが総利息は約69万円少なく、そのかわり返済開始時の月額は約1万7千円高くなります。

  • 元利均等:月々 91,855円(完済までずっと一定)/総利息 約858万円
  • 元金均等:初回 108,929円 → 最終回 71,518円と減っていく/総利息 約789万円
  • 元金均等は取り扱う金融機関が限られる。迷うなら元利均等+繰り上げ返済が現実的

元利均等返済とは

元利均等返済は、元金と利息を合わせた毎月の返済額が「常に一定」になる返済方式です。返済期間を通じて月々の支払額が変わらないため、家計管理がしやすいという特徴があります。

仕組み上、返済初期は利息の割合が大きく元金がなかなか減りません。返済が進むにつれて徐々に元金返済の比率が上がっていきます。住宅ローン商品の多くはこの方式をデフォルトとしており、日本の住宅ローン利用者の約9割がこの方式を選んでいると言われています。

元金均等返済とは

元金均等返済は、毎月返済する元金の額が一定で、残高に応じて利息が加算される方式です。返済初期は利息が多く月々の返済額が大きくなりますが、元金が早く減るため時間が経つほど返済額が小さくなっていきます。

仕組み上、同じ借入額・期間・金利なら総返済額(総利息)は元金均等の方が少なくなります。ただし初期の返済負担が大きいため、収入に余裕がないと選びづらい方式です。全国の金融機関のうち、住宅金融支援機構(フラット35)・メガバンクなど一部のみが取り扱っています。

3,000万円・35年・金利1.5%のシミュレーション比較

項目元利均等返済元金均等返済
初回返済額約91,855円約108,929円
10年目約91,855円約98,214円
20年目約91,855円約87,500円
最終回返済額約91,855円約71,518円
総返済額約3,858万円約3,789万円
総利息約858万円約789万円

このケースでは、元金均等返済の方が総利息で約69万円少なくなります。ただし最初の数年間は月1万円以上、元金均等のほうが返済額が大きくなるため、年収の高さが求められます。

※「10年目」は121回目、「20年目」は241回目の返済額です。元利均等は毎月の返済額を一定とする計算式、元金均等は「元金=借入額÷420回」に残高×月利を加算する計算式で算出。端数処理により実際の契約と数円〜数十円の差が出ることがあります。

借入額別の早見表(35年・金利1.5%)

借入額を変えたときに、月々いくら払うのか・元金均等にすると総利息がいくら浮くのかをまとめました。「元金均等 初回」との差額が、元金均等を選ぶために毎月余分に必要な返済余力です。

借入額元利均等 月々元金均等 初回総利息の差
2,000万円61,237円72,619円約46万円
3,000万円91,855円108,929円約69万円
4,000万円122,474円145,238円約91万円
5,000万円153,092円181,548円約114万円

借入額が増えるほど元金均等の利息削減効果(総利息の差)は大きくなりますが、初回に必要な追加の返済余力も比例して増えます。5,000万円では毎月2.8万円多く払える体力が前提になります。自分の借入額・金利・期間で試すにはローン返済計算ツールが使えます。

どちらを選ぶべきか(判断フロー)

元利均等返済が向いている人

毎月の返済額を一定にして家計管理したい/借入当初の収入が比較的少ない/子育て期で支出が多い/教育費のピークを迎える前に少しでも毎月の負担を抑えたい

元金均等返済が向いている人

借入当初から返済余力がある/総返済額を抑えたい/将来収入が減る予定で、早いうちに元金を減らしたい/定年退職後に返済を残したくない

迷うなら元利均等返済を選び、余裕のあるときに繰り上げ返済で元金を減らす戦略が現実的です。元金均等返済は「初期の月々返済額が通常より1〜2割多くても問題ない」という余裕がある人向けです。

繰り上げ返済の2つの方法

繰り上げ返済には、返済額はそのままで期間を短縮する「期間短縮型」と、期間はそのままで月々の返済額を減らす「返済額軽減型」の2種類があります。

  • 期間短縮型:総利息削減効果が大きい。住宅ローン控除期間(10〜13年)が終了するまでは期間短縮しすぎないように注意
  • 返済額軽減型:月々の返済が楽になる。家計に余裕を作りたいとき向き

利息削減効果は「期間短縮型>返済額軽減型」です。ただし繰り上げ返済のしすぎで手元資金がなくなると、教育費・医療費などの突発支出に対応できなくなります。生活防衛資金(生活費の6ヶ月〜1年分)は必ず残して繰り上げ返済をしましょう。

金利タイプ(固定・変動)との組み合わせ

住宅ローンでは返済方法と同時に金利タイプも選択します。金利タイプの選び方によっても総返済額が変わります。

  • 全期間固定金利型(例:フラット35):金利が完済まで変わらず計画が立てやすい
  • 変動金利型:短期金利の変動で月々返済額が上下。当初は固定より安い傾向
  • 固定金利期間選択型:10年固定など、期間後に変動・固定を再選択

一般に「総返済額を確定させたい=全期間固定」「金利上昇リスクを取って低金利の恩恵を受けたい=変動」と選びます。2020年代は超低金利が続きましたが、今後の金利動向は誰にも予測できないため、返済計画に余裕を持たせるのが賢明です。

よくある質問

元利均等返済と元金均等返済、どちらが得ですか?
総返済額だけで比べれば元金均等返済が得です。3,000万円・35年・金利1.5%なら総利息が約69万円少なくなります。ただし返済開始時の月額は元金均等のほうが約1万7千円高いため、初期の返済余力がないと選べません。迷う場合は元利均等を選び、余裕が出たときに繰り上げ返済するほうが現実的です。
元金均等返済はどの銀行でも選べますか?
選べません。住宅ローン商品の多くは元利均等返済のみの取り扱いで、元金均等返済はフラット35(住宅金融支援機構)やメガバンクなど一部の金融機関に限られます。元金均等を希望する場合は、金利の比較より先に取り扱いの有無を確認してください。
契約後に返済方式を変更できますか?
金融機関によっては可能ですが、手数料がかかり、再審査が必要になる場合もあります。原則として契約時に決めるものと考えてください。返済額を下げたい場合は方式変更より、返済期間の延長や繰り上げ返済(返済額軽減型)で調整するほうが一般的です。
繰り上げ返済は期間短縮型と返済額軽減型のどちらが得ですか?
利息の削減額だけを見れば期間短縮型が有利です。同じ金額を入れても、期間短縮型のほうが将来支払うはずだった利息を多く消せます。一方、返済額軽減型は毎月の負担が下がるため、収入減や教育費のピークに備えたい場合に向きます。
住宅ローン控除がある間は繰り上げ返済しないほうがいいですか?
控除は年末のローン残高に応じて決まるため、繰り上げ返済で残高を減らすと控除額も減ります。控除率より借入金利が低い場合は、控除期間(10〜13年)が終わるまで待ってから繰り上げ返済したほうが有利になることがあります。また、期間短縮で返済期間が10年未満になると控除の適用要件から外れる点にも注意が必要です。
変動金利で金利が上がったら返済額はすぐ増えますか?
多くの金融機関では元利均等返済に「5年ルール」「125%ルール」があり、金利が上がっても5年間は返済額が据え置かれ、見直し後も従来の125%までしか増えません。ただし返済額が抑えられるだけで利息が減るわけではなく、利息の支払いが後ろ倒しになる(未払利息が発生しうる)点に注意してください。元金均等返済にはこれらのルールが適用されないのが一般的で、金利上昇がそのまま返済額に反映されます。

参考資料

あわせて読みたい